バレンタインデー大作戦 ―やっぱりコイツか!西園寺!―

 バレンタインデーの一週間前になるとガールズは決まってひそひそ話をし始める。

普通の男は気づかないかもしれないが、俺にはバレバレだ。

 

「いつものが始まったな…」そう心でつぶやく。

 

そんなことを考えて廊下を歩いていると、上司の西園寺が横を通りかかり声をかけてきた。

 
 
 

西園寺:

「お前、今年もチョコレートが欲しいんだってな。

まぁ、せいぜい頑張れよ」


 
 
 

馬鹿にしたように笑っていた。

 

いけすかないやつだ。

西園寺とは同期入社でずっと競ってきたが何となくあいつが出世してしまった。

通り過ぎる西園寺を睨む私と同時に西園寺を見る女がいた。

そう、浜野さんだった。

「まっ、まさか!」と思い、背筋がヒヤリとする感覚だった。

 
 

浜野さんの顔は赤くなっていた。

 
 
 
 
 

 バレンタインデーの当日になった。

今まで準備してきたことをしっかり意識し、会社に向かった。

「ついにこの日が来たのか。今年こそ絶対もらってやる」

心の中で熱い気持ちを持ちつつも顔には一切出さないよう平常心を保っていた。

「今日はいつ渡されるのだろうか」仕事をしながらずっと思っていた。

しかし、午前を過ぎた。そして「昼のランチタイム後かなぁ」と思い期待していたが

一向に渡される事はなかった。

 

「そりゃそうだ!

本命のチョコレートだもん、そうすぐには渡せない。

人目も気になるしな…!」

 
 
 

しかし、4時を過ぎても声はかけられず、焦りだけが募っていた。

 

「ここまで準備してきたんだ。もらえないわけがない」。

ついに定時の6時。

 
 

浜野さんを見た。何か帰ろうとしているように見える。

バックの中がふと見えた。

 
 

「あれ、あれれ??何かプレゼント用の四角い箱が見えたぞ!」

 
 
 

ほっと、ひと安心して何食わぬ顔で、仕事をしているフリをしていた。

しばらくして、「お先に失礼します」と言う浜野さんの声が聞こえた。

「先回りして、俺が出てくるところで渡す作戦か…。仕方ないなぁ…。」

どこかで余裕は見せているが正直、胸の鼓動が早くなる。

すぐさまその場で仕事を切り上げて自分もすぐさまタイムカードを押した。

いつもより音が大きく聞こえる。

 
 
 

「今日は用事があるのでお先に失礼します」

 
 
 

みんなから特に反応はなかった。

 
 
 

ハッピー…バレンタイン…

 
 

こんな日にも仕事に追われるみんなを哀れみ、心で呟いた。

ゆっくり階段を降り、ちょうど会社の入り口近くまできた。

 
 

その瞬間、恐ろしい光景を見た。

 
 

あの西園寺と浜野さんだ。

 
 

状況がつかめず、柱の陰に隠れ静観した。

浜野さんはバックからさっきの四角い箱を取り出した、バレンタインチョコだ。

 

俺がもらうはずのものを西園寺に差し出した。

 

それを西園寺が何か冷めた目で見ている。

浜野さんは少し恥ずかしそうに「チョコレート作ってきたので、ぜひ食べてください」。

相手は会社の上司と言うこともありかなり勇気を振り絞って伝えたのだろう。

肩が震えているのが後ろからでもわかる。

すると、西園寺が驚きの行動をとった。

浜野さんから差し出されたチョコレートを西園寺は何も言わずに払って叩きつけたのだ。

 
 

「俺、

甘い物好きじゃないし、

今日いっぱいもらったからもういいよ~」

 
 
 

浜野さんは膝から崩れ落ちた。その瞬間、俺は飛び出した。

 
 
 
 

つづく

次回は2/22(木)更新予定です、お楽しみに♪