バレンタインデー大作戦 ―34年間バレンタインチョコを待ち続けた男―

 

 

事実、モテない男。

 
 

 一生懸命モテるために努力をしてきた。でもフラれ続ける。

勿論、チョコレートなどもらったことがない。とにかくこのチョコレートが欲しい!一度でいいから貰いたい。

 その切実な願望はかれこれ小学校までさかのぼる。

必ずクラスにいる運動神経抜群で勉強もできる、さらにイケメンという男。そんなやつが自分の学校にもいた。そいつは毎年クラスの女子から多くのチョコレートをもらっては満足げな表情を浮かべていた。しかもクラスで気になっていた女の子まで、チョコレートを渡していた。もしかしたらと、極力一人の時間を多めにつくり、帰りも渡しやすい雰囲気を出してみた。結局、みんなからは「悩み事でもあるのかな」という目で見られ、何事もなく終わることが大人になる今にまで続いている。

 チョコレートが欲しい。

モテる男は必ず経験しているバレンタイン当日の呼び出し。

俺の人生のストーリーにはその話は入ってこないのか。

 
 
 

 初めましての人もいると思うので、自分のプロフィールを紹介しよう。

私は千葉県出身の34歳。東京のイケてるIT関企業で営業の仕事をしている。勿論、就職理由も単純だ。女がいる会社でないとチョコレートの配給率が落ちてしまうからである。短絡的と思われるがこっちは必死なのだ。バレンタインデーが近づくと色んな取引先へのアポを取り始める。チョコレートをくれそうな女担当者がいる企業を回るのだ。チョコレート営業と言っても過言ではない。そんな営業をし始めて10年以上経つ。しかし、一件も成約がもらえない寂しい営業マンである。

 

 そんな中、新入社員が一人入ってきた。

総務課の浜野さんだ。今年はこの子からもらえるのではとロックオンしている。勿論、もらえるなら誰でも良いわけだが、浜野さんは笑顔で話しかけてくれるので可能性が高い。正直、今年こそイケそうな気がする。いつもとは手応えが違うのだ。

 

そんなことを考え始め、俺のバレンタインデー大作戦は半年前から始まったのだ…

 
 

つづく

 
 
 

次回は2/8(木)更新予定です、お楽しみに♪