最近はすっかり暗くなるのも早くなりましたね。
この前空を見上げた時に冬の星々が綺麗に光っていて、もう冬になるなぁと思った今日この頃です。
私の住んでる地域でも綺麗に晴れた日にはプレアデス星団が良く見えて、おうし座全貌を観測することができました。i Phoneならナイトモードで撮るだけで三脚無しでも良く撮れますので、是非皆さんも空を見上げて見てください。

中央上部にあるのがプレアデス星団( i Phone12pro 手持ちデフォルトカメラアプリで撮影し、デフォルトアルバムアプリ内で補正。)
夜が長くなる季節になると、帰り道に灯る街灯や、家の窓から漏れるあたたかな光に、なぜかほっとする瞬間があります。特に寒い夜には、その光に人の気配を感じるだけで安心する——そんな経験をしたことがある人は多いのではないでしょうか。
星好きな私にとっては灯りは無ければ無いほど嬉しいですが
私たちは普段、「灯り」に囲まれて生きていますが、それがどれほど心理的な安心感を与えているかを意識することはあまりありません。
今回は、その「灯り」と「安心感」、そしてデザインの関係について少し掘り下げてみたいと思います。

光は“情報”よりも“感情”を伝える
照明デザインの世界では、光には「機能」と「情緒」の両面があるといわれます。
たとえばオフィスの照明は、手元を明るく照らすための“機能的な光”であり、
店舗の照明やカフェの明かりは、空間全体の雰囲気をつくる“情緒的な光”です。
人が「居心地がいい」と感じる空間には、必ずこの情緒的な光が計算されています。
つまり、光は単なる視覚情報ではなく、感情を動かす“演出”でもあるのです。
明るさ=安心感、とは限らない
一方で、「明るければ安心」というわけでもありません。
コンビニのように明るすぎる照明は、安心よりも「監視されているような緊張感」を生むことがあります。
逆に、ほんのりとした灯りが揺れる空間では、人は自然とリラックスし、会話も穏やかになります。
この違いを生むのは、光の“量”ではなく“質”。
つまり、色温度や照度、陰影のバランスがもたらす印象です。
人の心は、明るさそのものよりも「光の柔らかさ」や「陰影の深さ」に反応しています。

人は「光に包まれる」ことで安心する
心理学の観点からも、灯りが人に安心感を与える理由はいくつかあります。
ひとつは「囲まれている」感覚です。
暗闇は視覚情報が少なく、潜在的な不安を呼び起こします。
対して、柔らかな光に包まれると、人は自分の存在が空間に“確かにある”と感じやすくなります。
これは小さな明かりでも効果があり、キャンドルや行灯、間接照明などが心を落ち着けるのもそのためです。
つまり、灯りは「自分を守る小さな境界線」として機能しているとも言えます。
デザインの役割は、“見せる”ことより“感じさせる”こと
空間デザインにおける照明設計は、単に「明るくすること」ではなく、
「光で人の心をデザインすること」です。
柔らかく照らすことで安心感を、陰影を残すことで奥行きを、
点の灯りを連ねることで温もりを——。
このように、光の扱いひとつで空間の印象も、人の感情も大きく変わります。
デザインとは形や色だけでなく、光をどう“感じさせる”かという体験の設計でもあるのです。

光の中にある「人の気配」
最近ではLED照明が主流となり、光の質感も多様化しました。
しかしどんなに技術が進んでも、「光を見て安心する」という感覚は変わりません。
それはきっと、灯りの向こうに“誰かの存在”を感じるからです。
誰かがそこにいる、あるいは自分もこの空間にいる——そんな確かさを思い出させてくれるのが灯りの力。
だからこそ、デザインの中で灯りをどう扱うかは、
人の心をどう扱うかと同義なのかもしれません。
今日の話はこの辺で。また次回お会いしましょう。